開発部部長 川村健広[かわむら たけひろ]
数々の「日本初」を生み出してきた榎本工業
その根幹となる技術力と開発のこだわりを訊く
私たちの仕事の基本は、“唯一の一台”を生み出すことです。
主力製品である産業用工作機械に汎用機はほとんどなく、それぞれのお客様のニーズにその都度合わせたベストマッチングを提案しています。どういう機械を求めているのか仕様書をいただいて、そこから最適で効率的な解決策を導き出していきます。
主要となるお客様は日々進化を遂げる自動車業界の企業です。私たちが一番多くつくっているのは組立検査設備で、モデルが新しくなる度に仕様の変更があり、半年足らずの短いスパンで次々に新しいものを開発していきます。そのスピーディなモノづくりを可能にしているのは、長年に渡り培ってきた組立技術や検査技術、あるいは測定技術や制御技術、そういうあらゆるノウハウを組み合わせられる開発力です。
ハイレベルで細やかな要求に応えられるそうした開発力があるからこそ、創業116年を迎えた私たちが今も尚お客様にご支持をいただいているのだと、社員一同誇りを持って働いています。
私たちはこれまでに「日本発」、つまりメイドインジャパンにこだわり、数々の「日本初」を生み出してきました。昭和50年から自社商品の開発に着手し、最初に製造したのは“卓上式小型旋盤”です。当時はオーストリアなどの海外製しかなかった市場に、私たちが日本初の卓上式小型旋盤を開発し、その後も卓上式小型ボール盤などのDIY関連製品を手掛けました。昭和58年にはこれもまた日本初となる、当時最先端のパソコンを活用した小型NC旋盤をつくりだし、教育用として全国の工業高校・専門学校のみなさまから、高い評価をいただきました。
そして、最新の自社商品は「同時5軸制御ハイブリッド3Dプリンター」です。
それまでの3Dプリンターは3軸方式といって、下から上に積み上げるだけの積層しか出来ませんでした。そのため、対象物が重力に逆らうような複雑な形状だと、積層する材料である“モデル材”が崩れ落ちてしまうので、それを支える“サポート材”が必要でした。これに対し私たちの開発した5軸方式は、対象物を傾け回転させることも可能で、最適な方向からの積層によりサポート材を必要としません。さらに積層機能に加え、刃物による切削機能まで加えたハイブリッドタイプです。これもまた日本初となる製品です。
これからも私たちは人が考え付かないような発想を武器に、ニッチな市場でトップシェアを狙っていきます。当社にはエンジニア魂をぶつけられる環境があります。同じものをつくり続けるのではなく、常に新しいものに挑戦したいという人に、ぜひこれから活躍していってもらいたいです。